電子投票の取り組みと可能性

地方選挙では、2002年の岡山県新見市長・市議選を手始めに、これまで16回の電子投票の実績がある。
一票を投じたい候補者や政党をタッチパネルなどで選ぶ電子投票を、国政選挙でもできるようにする公職選挙法特例法改正案が今国会で成立する見通しだ。現在、地方選挙で電子投票を実施するための条例を制定しているのは、岡山県新見市など8団体にすぎない。次期衆議院選挙を電子投票を広める後期にしたい。
電子投票の利点は多い。まず開票時間が大幅に短縮できる。開票作業に従事する職員を減らせるなど、人件費節減にもつながる。誤字による疑問票の判定などの作業も要らなくなる。現在も点字投票などの制度はあるが、タッチパネルなら手書きが不自由な一部の人たちの投票も容易になる。若者の政治参加への関心を高めることにもなるだろう。
にもかわらず、電子投票が普及しなかった一因として、電子投票機の購入・レンタル代が工学なことが挙げられる。改正案では導入する自治体に交付金を配ることが盛り込まれている。03年の岐阜県可児市議選挙などでは、重大なトラブルが発生した。可児市の場合は、その後の訴訟で、選挙無効が確定している。
国立国会図書館政治議会課によると、米国、英国、ドイツ、フランス、ブラジル、インド、オランダ、ペルギーなどで電子投票が実施されている。韓国は来年の総選挙から導入する予定だ。日本のような候補者などの名前を書く自書式は、フィリピンぐらいしか例がないという。
電子投票を巡っては、データが正しいかどうかの問題が指摘されている。参考になるには、フロリダ州での再集計の混乱をきっかけに、電子投票が確認できる紙の記録も残す投票機を導入する動きが広がっている。
ネット上での個人証などの安全性が高まれば、将来的には自宅で投票の向上などに、日本の民主主義の発展に資する。今回の法改正はその一里塚となる可能性を秘める。
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