環境にやさしいまちづくり

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環境にやさしいまちづくり:「わが国の先進的取組」
わが国でも、持続可能なまちづくりを進める機運が高まる中、行政やコミュニティなど、さまざまな主体によるまちづくりが始まっています。
ア コンパクトシティの取組
富山県富山市では、「街の顔」となる中心市街地の再生と車に過度に頼らない、歩いて暮らせるまちづくりを目標として、まちなか居住を促進するための公的補助、空き店舗の活用をはじめとする中心市街地の再生事業を行うとともに、高齢者等の交通弱者にもやさしいLRT(Light Rail Transit)と呼ばれる路面電車の導入をはじめとした公共交通機関の充実により、まちの再生・活性化を図っています。このような取組には、中心商店街の活性化のみならず、コンパクトな都市構造による省エネルギーなど、環境負荷を低減する効果が期待されます。

 また、富山高岡広域都市圏第3回パーソントリップ調査では、都市圏の将来像の設定に当たり、都市構造と公共交通の利用が現況のまま推移した場合や都市機能の都心部集約と公共交通重視を行った場合といった6つのパターンを想定した検討がなされています。これによれば、都心部に都市機能を集約し公共交通の利用促進を同時に行うパターンが、最も自動車の利用が抑制され、二酸化炭素排出量の削減に効果があると試算されています(図2-2-3)。

イ ひとと環境にやさしい交通まちづくり
 大阪府池田市では、エコドライブの推進と駅ボランティア事業の取組により、「ひとと環境にやさしい交通まちづくり」を進めています。エコドライブ推進事業では、運送車両315台に運転状況にあわせて音声でエコドライブを指導するデジタルタコグラフを設置した結果、平成17年度は約1,300トンの二酸化炭素排出量が削減されました。また、駅ボランティア事業では、「心のバリアフリー」を目標に掲げ、高齢者や障害者の移動や荷物の運搬等の支援を行うなど、公共交通機関の利用の促進を図りました。これには、駅改札前のポイ捨てが減少したなどの副次的な効果も見られました。

ウ コミュニティバス
京都市伏見区の醍醐地区は、市営バスの撤退により地区内の移動が不便になったことや、高齢化の進む山沿いの公営団地に、公共交通機関の運行が求められていたことから、「醍醐地域にコミュニティバスを走らせる市民の会」が地元事業者の協力を受けて、コミュニティバスの運行を開始しており、現在は「醍醐地域にコミュニティバスを走らせる市民の会」と名称を変更し、活動を行っています。
このコミュニティバスは、高齢者や子どもたちなど、この地区の住民にとって、日常生活の貴重な足となっているだけでなく、自家用車を利用する場合と比較して二酸化炭素排出量が1人当たり約半分で済むといった環境負荷低減効果が得られています。
http://www16.ocn.ne.jp/~daigobus/index.html

エ 自転車のまちづくり
 秋田県二ツ井町では、東京都杉並区でごみとして扱われ処分に苦慮していた放置自転車を再利用することにより、まちを活性化する事業に取り組んでいます。まちの主要な10か所のステーションに合計450台の自転車を設置するほか、町道・県道にあわせて総延長約3キロに自転車歩行車道を整備するなどの自転車のまちづくりを推進しており、地域の若者から高齢者、さらに観光客等にも利用してもらうことで、駅周辺や中心市街地、市内観光スポットなどへの「人」の流入を図り、中心市街地を賑いのある元気な「まちの顔」へと再生を図っています。このような取組の結果、車依存のライフスタイルから、車と自転車・歩行の使い分けへの転換が進んでおり、移動時の二酸化炭素排出の抑制効果が期待されます。

オ 地域冷暖房の取組
 光が丘パークタウンは、練馬区板橋区にまたがり、周囲に緑の公園を配し「自然と調和した緑豊かな明るい街」として建設された12,000戸の大規模住宅団地です。この団地と、隣接する住宅、学校、商業施設、官公庁施設を対象として、光が丘清掃工場の発電後の復水排熱を利用した高効率な熱製造と熱供給が行われています。この取組により、同様の施設を重油で賄った場合と比較して、二酸化炭素は66%減、NOxは72%減、SOxは94%減と大幅な環境負荷削減効果が得られています(東京熱供給株式会社の試算結果より)。

カ 自然再生の取組
 埼玉県川越市所沢市狭山市三芳町にまたがる通称「くぬぎ山地区」では、都市化の進展や農業の衰退により、平地林の転用や荒廃が進んだことから、オオタカなどが生息する武蔵野の面影を残す貴重な平地林が失われています。

 この平地林を未来の世代に継承することを目的として、平成16年に自然再生推進法に基づく「くぬぎ山地区自然再生協議会」が発足し、地権者、土地所有者、市民団体、関係行政機関等の多様な主体により同地区における特別緑地保全地区制度を活用した樹林地の保全・再生・活用のための検討が進められています。
http://www.pref.saitama.lg.jp/A09/BD00/kunugiyama/kyougikai/index.html

参考資料 環境白書(平成18年版) p33-37参照。